スギダラ天竜支部



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再びのアベリア襲来[屋台大学]その1

彼女は再び私たちに語りに来てくれた。
(すんごく濃い一部の人に)言わずと知れた、別府になりたい…いやすでに別府そのもになりつつあるのではと思しきアベリア、その人である。
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今回も語る語るアベリア。これは実は前談での写真。まだジャブ。

※最初の襲来の記事はこちら:アベリア襲来[屋台大学]

とにかく、強烈で、深く刺さり、考えされられ、鼓舞され、はたまた大きなエネルギーの塊に直面してしまうと嫌でも突きつけられる自分の程度に失望したり、とてもたどり着けないと諦めかけたりもする。

それがアベリアこと安部純子氏である。

今回のキーワードは、「不確か」「何も考えていない」そして「良い子は真似しちゃいけんかもしれん」であった。

あまりの強烈で思うところはたくさんあったが、消化に時間がかかりそうですので、まずはとにかく伝えなきゃと(私が勝手に)思ったことを咄嗟に残しておきます。


■不確か、何も考えない
何も考えないで、確かなことも持たないで、進んでいるというアベリア。
それこそ、丸腰、なんの理論武装も"良い人武装"もなく進んでいるのか、アベリア。
それは、とても恐ろしくて怖くて、できないと私はとっさに思った。
私はどうしても考えてしまう。理由を添えてしまう。説明しないと足元が固まらない気がする。
でもアベリアは「こんな良いことが起きます」「みんなが笑顔になります」というラベルすら貼らない。

(どうしても私は考えちゃうが)丸腰だけに、アベリアが持っているのは真理だけ、その時の刹那の感情だけ、善行も体裁も何も持たない。・・・というように心がけているのか、実際にそうなのか。「アンタ、丸腰じゃないか!」と人によく言われるそうだから、すでに実際にそうなんだろう。

もうアベリアは、別府仙人なのかもしれない。

■キャッシーの愚問と「早さ」
二次会で幸運なことにアベリアの隣の席だったワタクシ、最近苛まれていることに対して、ご意見うかがいました。

キャ「私の近場に、アイデアも出さんと、やたらとコストとリスクばっかり言ってくる人がいるんです。アベリアならどう対応しますかー?」

アベリア「そんなこと言われるより早く、もう動いとる」

ああ愚問でした。そういうことでした。全然次元が違う。そういうことです。
そういうことでした。

かといって、アベリアもきっと初めっからそうだったわけではない。
20年、必死に何かを実現したくて動いて動いて動いて来た結果、言われる前に動くという、それも何も考えないでその動きが実際に出ているわけで、やっぱり仙人のような域にいる。

仙人はねえ、「良い子が気軽に真似したら、まずい」ものでもあるでしょうねえ。
今回のアベリアは、その点をとても気にしていました。

前回アベリアが言ってくれた「川の流れを滞らせる石があったら、少し、角度を変えるように働きかける」という言葉、その続きを今回聞きました
「そうは言うても、その石の角度を0.1ずらすのに、10年かかるかも知らんの。それをやるってことなの」

それをやってきたのがアベリアであり、でも彼女は褒められることを慎重に回避しようとする。
褒められれば嬉しくなってしまう、自分は正しいとか思わず思ってしまいそう、いい気になってしまいそう、そんな想いを持っていたら、伝わるものも伝わらんくなる、自分自身が変な流れになりかねんーーーってことまでアベリア自身は口にしていませんが、そういうことだと思いました。


う〜〜ん、なんかキレイな教訓みたいのにはまとまりませんが、リアルに生身にそういう生き方をしている人がいるということを体験して、うわああぁぁ・・・・・と衝撃を受けている今現在、というのが正直なところです。

アベリアって、すげぇ〜〜なあ〜〜〜〜


補足:「祈る」ということ
今回、アベリアも、その前談に登場したトリリア(鳥居ちゃん)もタミリア(たみちゃん)も、みな「祈る」という言葉を口にした。
これは、ちょっと、気をつけて受け取っってもらった方がいい言葉だと思うので、蛇足なおかつ僭越ながら補足したい。

まあ平たく言うと、「祈る」という言葉からは容易に宗教的なことが連想される。そうなると、「あれ、ちょっとアブナイ系かな」「オーラとか見えちゃう系かな」と警戒する向きもあるのではないかと勝手に危惧してしまう。

だって、現代社会の私たちの暮らしで、祈るってこと、しないでしょう。そりゃあ初詣では祈っているけれど、あれはイベントみたいなもんで、数日前はクリスマスを祝ってたわけだし。まあ、お葬式に行けば、それか墓参りに行けば、祈ってるけど、ねえ。・・・ってのが普通の人の「祈る」感かなと思います。

いやしかし、現代日本で暮らす私もアナタも、大事なところでは祈っているのです。

学生だった頃、合格発表の紙が張り出される時、祈りましたよね?
甲子園で地元校がアウトあと1つで勝てる時、祈りますよね?
家族が手術することになって待っている間、祈りませんか? 子供が熱を出して寝ている時でもいい。治って欲しいと、全然無意味なはずなのに、祈りますね?

必死に真剣に、何かが起きて欲しい時、人事を尽くしてしまった後に、やり尽くしたから、じゃあぼーっとしておこう。というふうに人はできていません。

まったく科学的じゃないけれど、理論的でもないけれど、居ても立っても居られないその想いを、せめて祈りに具現化する。そんな面が誰にでもあると思うのです。

アベリア、トリリア、タミリアは、3人とも常にギリッギリまで人事を尽くしながら、どうしても実現したい!ことに直面しながら生きている。いつだって人事は尽くしに尽くしている。だからこそ、力強さを肌身に感じているところの「祈る」ということだと思うのです。

・・・蛇足な補足でした。

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by sugidaratenryu | 2018-05-13 18:53 | つながり

淡路島・津井 めくるめく瓦の町ツアー・4

めくるめく津井ツアー、最後の工場は"デザイン"を切り口に挑戦を続けていらっしゃる、大栄窯業さん。
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↑まずは素敵なギャラリーを見学

さて。この"デザイン"という言葉、私のようなシロウトが使うべきではないのでしょうけれど、稚拙ながら考察します。

デザインて、「面白さの発見」でもあると思うんですよね。

瓦の場合、日本の原風景に含まれる素材であるわけです。屋根なのでかなり面積が大きいし、あの灰青というか"いぶし銀"の色合いやマットな素材感、重みが想像できる存在感は、日本に住んできた人々の脳にほとんど無意識に入り込んでいる。(最近の屋根はバリエーションが豊富なので、若者の脳には入り込んでいないのかもしれませんが)

だから、いわゆる瓦そのものを見ても新しい感動ってあんまりないのですが、その素材感や存在感そのままに、目の前にあったり(屋根という遠いところにあるものという先入観を裏切る驚き)、見知っている形ではなかったり、すごく小さかったりすると、びっくりするわけです。そして元々瓦素材が持つ美しさを再発見する。

それが面白いんじゃないかなと思いました。
そういう面白さを、どの辺の角度でどう挿していくかっていうのは、きっとセンスなんでしょうね。意外すぎても、狙いすぎても、バタくさい感じになりかねない。

個人的には、瓦業界にとっては普通の飾り瓦を(特に鳩)ちっちゃくしたオブジェとかあったら面白そうなんですが、そのセンスはどうでしょうか・・・

私のシロウト談義はさておき、大栄窯業さんの意欲的作品群をご紹介します。

まずは、鬼瓦パター。
これは、プロのゴルファーの方のアドバイスもいただきながら、本気で作ったそうです。
愛情を持って「バカだなー!」と爆笑させていただきます! これを本気でやれる人は、こっち側の人確定です笑 

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↑本気です。
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↑念のため、こちらが屋根に置く鬼瓦
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↑箸を置いてしまったので形がよく見えませんが、淡路島箸置き。
淡路島って、箸置きにぴったりの形状。神様の采配素晴らしい。
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↑形が意外な丸い瓦。色も意外ですね。タイルみたいな感じです。
ギャラリーでは1枚から購入可能。
色の出方が1枚1枚異なるので、選べる楽しさがあります。
ちなみに丸い緑のも瓦製。こういうただ単にカワイイってのもいい。

◇見学させていただいた大栄窯業株式会社さんのHPはこちら。http://www.daieibrand.com

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さて、マーキーさんのアテンドをいただき、怒涛に見学した淡路島の瓦の町・津井。町中のみんなが瓦に関係していること、町全体の工場で協力しあってやっと瓦ワンセットができあがるとが、とても印象に残りました。

しかし近年では瓦の需要が落ち、関係する人の割合は少なくなったり、各工場もフル稼働とはいかないとの苦境も伺いました。しかし、まさに土着の、ここでしかできない産業ってのは、これから面白い!(と無責任に思っております!)

業界全体が苦しい時・・・というのは、業界全体で協力体制に持っていけるいい機会。
畑違いではありますが私の体験では、「アーチェリー」というマイナースポーツを愛する人は、競技の上ではライバルであってもアーチェリー自体を盛り上げることに関しては完全に仲間!!という実感がすごくあります。一丸となれる仲間です。
どの工場の方も、その方らしく瓦と向き合ってらした様子は、とても素敵だなと思いました。

楽しい時間をありがとうございました!


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by sugidaratenryu | 2018-02-03 18:16 | つながり

淡路島・津井 めくるめく瓦の町ツアー・番外編

津井のツアーでは、随時町の様子も見学しました。
気になった風景をつれづれに語る番外編です( ´∀`)

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どこの町でも気になるのは、地形と家並み。淡路島は、島といっても広いので地区により地形の特徴は違いますが、津井のあたりは丘が連なっている印象。なだらかな坂と、なだらかな段々畑や棚田が印象的でした。
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そして家は、もちろん瓦葺き。立派な瓦屋根の立派な家々が残ります(戦火にはほぼ合わなかったとのこと)。ぜひこれからも美しい家屋を残していってほしいです。

それから驚いたのは、石積みの港!

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↑ コンクリ造でない港を見るのは初めて。石を積んであります。
補修もあったようですがちゃんと石積み。
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↑ 階段部分は、その部分の積まれた石が長い!
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↑ 金属製以外は見たことなかった、船を繋ぐところ(ビットと言うそうですが)も石造り!

淡路島は、島とは思えないほど広々していますが、そこはやっぱり隔離された島。そこここに、古き良き美しい手仕事残っています。不便や手間があると思いますけれど、ぜひ残していってほしいです。
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by sugidaratenryu | 2018-01-04 15:18 | つながり

淡路島・津井 めくるめく瓦の町ツアー・3

怒涛の瓦工場見学ツアー、2箇所目は、大規模工場へ。
機械化・自動化・大型化が進んだ工場という印象でした。
こちらでは、「多様化」「海外販路開拓」により活路を見出されているとのこと。
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↑ さまざまな色の瓦を開発。特に黄色は、台湾で標準的に採用されているとのことで、言われてみると、台湾のイメージで瓦は黄色いかも。
台湾現地に製瓦会社はなくすべて(!)日本からの輸入だそうです。


とにかく圧倒的な機械たちの存在感でした。
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↑ 原料の土を入れて、ぐわんぐわんと練る機械がお出迎え。
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↑ 整形はほぼ人手を介さずできるような機械が。瓦の形がよく分かりますね。
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↑ 乾燥量も半端ない!
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↑ 「トンネル窯」という窯があり、連続的に焼き上げることができる設備。
写真の広い空間は、焼き上がった瓦たちを冷やすため。生産される量が想像されます。

お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらの工場では搬送レールが張り巡らされていました。
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↑ 電車と同じく「転車台」と言うのでしょうか。
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↑ こんな使い方。瓦は重いし割れるし、なめらかな移動が肝要ですから。

色、サイズ、販路の工夫を、自社のパワーで進めていらっしゃるとのこと。
↓ 中には白い瓦も!
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これは綺麗で興奮しました! ・・・The ALFEEの高見沢さんのお家はぜひ白瓦にしてほしい・・それか、前衛的な茶室を建てる際に使ってほしい、素材は伝統的なものを使いながら全部白!って面白そう・・・など、見たことのない色の瓦は、今までとは違う発想をインスパイアしてくれるものだと体感しました。

同じものを作っているようでも、守って作るのと攻めて作るのでは、少しずつ着地点が違ってくるのだろうと思いました。
↓ ガラのある瓦の試行錯誤が工場のわきに。
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お話を伺ったのは常務兼営業部長さんでしたが、こちらでも淡々と粛々と、ご説明くださいました。「改革するぜ!」「新しい瓦の地平を拓くぜ!!」みたいな瞬発的なものではなく、当たり前のことを当たり前に行いつつ、歩いている道を注意深く見ていると種に気づく時があって、その種を奇をてらわず育てている、そんな印象を受けました。
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↑ 掲げられた社訓。キビシー!
進んでやることもあるけれど鮮やかに見当違い!というキャッシーは、
去らなくても大丈夫でしょうか。


◇見学させていただいた朝日窯業株式会社さんのHPはこちら。
http://asahiyogyo.com/index.html

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by sugidaratenryu | 2018-01-04 13:46 | つながり

淡路島・津井 めくるめく瓦の町ツアー・2

さて、怒涛の瓦工場見学は、スーパーコーディネーター・マーキーさんのご尽力により、1日に3箇所もセッティングいただいておりました! 津井の地区内または近接地区の近場とはいえ、こんな密度の見学ツアーを計画くださって、ありがとうございました!!

一箇所目は、海辺の工場。
江戸や明治の頃には、重い瓦を運ぶのはもっぱら水運。海から出荷していた名残の海です。
それにしても、工場というのはかっこいい。
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↑作為のないかっこよさ。
こちらは家紋を入れた部分をサンプル的に積んである場所。見せるつもりもなく、再注文があったり他の注文の参考に置いてあるとのこと。


早速工場内部へ。メカメカしい頼もしい機械たちが所狭しと。
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↑ こちら昭和初期に作った機械とか。
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↑ おやっさんが、練った土を整形していきます。
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↑ 先ほどの家紋の型たち。家紋はご存知の通り、ものすごい数のバリエーションがあります。同じ注文は2度ないくらい。その型はまあなんとなく(普通再注文はないから保管しても使う・・わけではないけれどせっかくだしという感じで)保管してあるとのこと。
この物理的な蓄積と経験の蓄積が、津井の瓦の町としての歴史だなと感じました。
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↑ 整形したら乾かします。整然と並ぶさまは壮観。
1軒の家に少なくとも2000枚の瓦が必要とのこと、つまりこの圧倒的な量になります。
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↑ 淡路の瓦の特徴となる「土かけ」。乾いた成形済みの瓦にかけます。
仕上がり時のいぶし銀の光沢の源。
いつなぜこの工程を始めたかは不明(というくらい昔からやっている作業とのこと)
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↑ そして焼く!! 
ひと窯で千枚単位で焼けるように、窯も圧倒的。
化学の授業でしか出会わなかった"ブタン"でガンガン焼きます。最後に"生ガス"を注入して還元するといぶし銀色に仕上がる。
教科書でしか接したことのない事象が現実世界で動いていることに個人的に感動。

こちらの工場は、半機械化・半手作業という印象でした。
各所の担当者は、粛々と、手際よく、当たり前のようにきっちりと仕事をされていました。

また、スレート壁の工場の隣には、昔からの杉壁の(もちろん瓦葺きの)工場も。
これがまた格好いい。
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↑ 海風に吹かれ、いい感じに年月を刻んだ壁と瓦が素敵。
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↑ 内部の梁もかっこいい。

しかし、瓦業界として見れば、屋根材は多様化し瓦の需要は減って来ているとのことで、杉壁の工場は、今はなんとなく在庫を置いてあるけれど、そんなに回転しているわけではないそうです。またあの巨大な窯は、最盛期には24時間体制でずっと火を入れていた時代もあったそうですが、現在は毎日一回の火入れ。
この後は、瓦を生業としてく生き残りの手法についても考えながら、さらなる工場へ見学に向かいます。

◇見学させていただいた有限会社登里製瓦さんのFacebookはこちら
https://www.facebook.com/noborizatoSEIGA/
◇コーディネートしてくださったマーキーさんこと青木将幸さんのHPはこちら。
※本業は、会議を深める進行役:ファシリテーターをされています。
http://www.aokiworks.net/index.html

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by sugidaratenryu | 2018-01-03 17:33 | つながり

淡路島・津井 めくるめく瓦の町ツアー・1


さて、先日、淡路島は津井(つい)地区を訪問しました。
約1年ぶり、2度目の訪問です。
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淡路島の左下の、プクッと出ている場所に津井はあります。

津井の町とは瓦の町、日本三大瓦産地の一つです。
その歴史は江戸初期、貧しかった津井の土地にお寺が引っ越して来ます。当時のお寺は、文化や技術の最先端の場所。・・・という表現を何度か聞いていながらあまり想像がついていなかったのですが、やっとピンと来ました。

お寺を建てるには、建築技術がいる→建築技術を持った人も一緒に来る→建てることは、建築資材の調達も含む→技術者が津井の土は瓦に適していることを発見する→瓦焼こう→いい瓦ができる→瓦を特産品にしよう=技術が伝わる。

当時貧しかったこともあり瓦作りは定着、淡路島は大阪・京都に近く、名だたる寺社仏閣に瓦を納め、三大産地として定着します。
焼き上げる最後に松葉を使った還元を行う技術を確立し、”いぶし銀”の美しい瓦を生み出します(工業化した窯では"生ガス"で還元)。
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立派な瓦屋根。とある瓦会社社長さんのお宅(の長屋門)。

津井の町の何に惹かれたかというと、(現在は割合は減ったものの)町中が瓦屋さんでみんなが瓦に関わっている町、ヨソ者の発想では「同業者間の競争が激しいのでは」と思いましたが、違いました。

瓦とは、非常に多種なパーツから成る製品。町中の瓦屋さんが力を合わせて、そうして「瓦屋根一式」が出来上がるんだそうです!! 全員仲間!! そりゃすごい!
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A1くらいのサイズのポスターにずらーーっと並ぶ部品一覧。
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変わりダネで、鳩(焼く前の状態)。先ほどの長屋門の上にも一羽とまっています。
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恵比寿さん…の後ろ姿(こちらも焼く前)。なんか哀愁ありますね

津井の町がどれくらい瓦の町かというと、それはもう、そこらじゅうの屋根という屋根は当然瓦葺きです。普通なら瓦葺かない小学校も瓦葺き、体育館だって瓦葺き。ごみステーションすら瓦で葺きます。当然です。しかも複数あるごみステーションでそれぞれ屋根の形を変えて、より一層多様な瓦を使用。
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ごみステーション。軽く人が住める感じ出てます。

さらに瓦づかいは屋根だけにとどまりません。ちょっとしたキズものや焼きに失敗した瓦たちが転がっている津井の町。畑の土留め、ちょっとした境界線のアピール、その辺の資材が飛ばないようにする重し、なんでも瓦です。
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製品の梱包作業台がかわいらしいフォルムだなと思って撮ったのですが…包装紙を押さえてある重しはもちろん瓦。

今までの人生で瓦にこんなに囲まれていたことがあっただろうか・・・
圧倒的な瓦の町の瓦分に圧倒されながら、怒涛の瓦工場見学へ突入します。

※本レポートは昨年の見学と合わせて2年分の内容をまとめてお送りします

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by sugidaratenryu | 2017-11-19 16:50 | つながり

遠州酒蔵見学 その2

さて、遠州酒蔵見学は、掛川市の土井酒造さんへ。

■株式会社土井酒造場 http://kaiunsake.com

土井酒造は、静岡県掛川市にあり、徳川・武田の攻防戦が行われたという高天神城址のふもとにあります。そう、ブラタモリでおなじみ、山のキワには水が湧く。遠州の雨を受けた水を使った酒造をされています。
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山に抱かれる工場。
正面が酒造の屋敷、左の白い大きな建物は倉庫。
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桜の向こうに立派な門。
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川と塀に囲まれた立派な屋敷です。

土井酒造さんは家族経営といった雰囲気で、対応いただいた会長はお父様で、社長は息子さんとのこと。直売所は、これも大変立派なご自宅の土間あたりに接客スペースを配したもの。この日は改築作業真っ最中でした。息子さん家族が住みやすいように現代風に変更しているようですが、旧来の梁や柱を残しての改築の様子が垣間見えました。
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立派な松! これくらい家の近くにあると、建て替えの時に伐られてしまうことが多いので、貴重です。同じくらいご自宅も歴史のある建物とお見受けしました。

現在酒蔵見学はされていないということで、直売所のスペースで土井会長から直接お話しを伺いました。もちろん、試飲させていただきながら・・・
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夏季限定の「開運 特別純米 涼々」
このセリフしかなくて恐縮ですが、おいしかったです!

土井酒造といえば、銘柄「開運」が著名です。
おめでたい銘柄だけに、新築祝いなどのお祝い事によくプレゼントされます。そして我が家は父が設計士をしていたため、おそらく新築祝いのおすそ分けをいただいたのでしょう、実家にはいつでもこの開運が1−2本はあったものです。恐縮ながら「土井酒造」というお名前は存じていなかったのですが、この銘柄とこのラベルを見て、急にめちゃくちゃ身内な気持ちになってしまいました。
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どこまでもめでたい。
「ますます繁盛」にかけた「二升半の特大ボトル」もあります。
※画像はリンク先からお借りしました

そして土井会長、全っ然商売っ気がありません(笑)。
「この涼々というお酒の着想はどこから?」
会長「なんかちょっと作ってみたら、評判がよかったから」
「商品開発はどのように?」
会長「うん、まあ、たまたま面白いのができたら、出してみようかなって」

なんだろう、このゆるやかさ(笑)
勝手に、経営大丈夫なのかしらと心配になってしまいますが、息子である社長さんは販路開拓に勤しみ、最近では海外への輸出量もけっこうあるのだとか。部外者が心配することじゃないですね(笑)

そんなゆるい感じを出しながらも、酒造りは好きだと断言された会長。好きだからこそやるし、オレが好きでやってたから息子も継ぎたいという気持ちになってくれたようだと。
好きだからやる、という姿勢、素敵です。

そして、なぜ酒造りが好きなのか。
会長「お酒を飲むと、楽しくなるから」

土地柄、お祭りやら寄り合いやらで人が集う機会は多く、そういう時には酒が出る。みんなで飲んで陽気に楽しい時間を過ごす。そういうのが、酒の役割だからね、と会長。
個人的には、こういう姿勢で、身の丈にあった規模で好きなことをされている土井酒造はとても素敵だと思いました。


ちなみに土井酒造さんも、お酒の神様の神社から杉玉を買って吊るしています。
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門の軒先に。


この杉玉、一年で役目を終えるのですが、それを捨てるのも忍びないということで、会長はみんなとっておいてあるのです!
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勢ぞろいして、かわいい・・



別れ際、会長がお土産を持たせてくれました。
親しくなった写真家が撮ってくれたという「土井酒造 開運 写真ハガキ12枚セット」でした。製造工程の順に、洗米から始まり、醪(もろみ)の様子などの各工程を美しく撮影してあるのですが、最後の12枚目は、「浄水場」でした。

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「洗浄水などは、活性汚泥槽に集めて浄化する」
お借りした水は、ちゃんときれいにしてお返しする姿勢。

土井酒造さんでは、当然のように排水のことも気にかけていたからこその1枚なのでしょう。マニアックなところですが、ちょっと声にならないほどの感動をいただいて、掛川の地を後にしました。
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by sugidaratenryu | 2016-09-10 16:05 | つながり

遠州酒蔵見学

友人から「遠州酒蔵取材ツアーを企画しているんだけど、いっしょに来る?」と誘われて、二つ返事で参加を決めた。

しかしなぜ二つ返事をしたか、そこから考えてみたいと思う。

というのは、実は私は別にお酒が大好き!というわけではない。
どちらかというとお酒の場が面白く、あとは酒が入るとちょっとテキトウでも許されるようなところが気楽で良い。

しかしお酒の味は全然わからない。飲み比べセットを頼めば確かに味は違うなとは思うけれど、好きか嫌いかというのが判断つくほどの思い入れはなくて、だから好みの酒というものはない。同様にビールの味も特段の好き嫌いはないし、水の味も違いはよく分からない。だいたいのものが「おいしい」というおおざっぱな中で生きている。

それでも酒蔵には興味があった。特に、「ツアー」で複数を短時間のうちに回る、というのはとても興味深く、だから二つ返事だったと思う。

興味を持ったところをつれづれに挙げてみると、日本酒というのは土着の酒であって、歴史が古い。けれども一時期人気が落ちて、しかし最近盛り返しているという噂を聞く。おそらく「職人」と言われる人が居るであろうこと。聞きつまんだ話では、職人の微妙な判断によりそれこそ職人技で銘酒は仕上がるらしいが、私には職人が何をどう判断するのか想像できず、そのあたりを確認できるかもしれないという期待もあった。また、酒の味は、土地や酒蔵(蔵付きの菌)によって異なるらしいが、どうも信じられない。それから個人的に、古い建物や道具が美しいと傾倒しているので、酒蔵にはそういうものがわんさとあるに違いないということ。

その辺りを総合したであろう直感により、二つ返事にて酒蔵ツアーに出発した。

この日の訪問は2箇所、1つは天竜の山裾ともいえる浜北区にある花の舞酒造。
もう一つは、掛川市にある土井酒造場である。

まずは1軒目の花の舞酒造。
こちらは、大々的に、いわば商業的に酒造している印象があり、その通り、見学コースも整っていて、効率的に案内いただいた。
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販売店舗。最近、こういう古い作りの建物に非常に心惹かれる。
奥に見えるのが門前町を生み出したお寺、庚申寺の門。


販売店舗と酒蔵、倉庫がお寺の門前にある。店舗の前の道は、昔からの門前の通りで、道幅も昔から変わらないという。軒先には大きな杉玉が堂々と下がっている。スギダラケ倶楽部会員として、嬉々としてお店で作ったのですかと質問したところ、お酒の神様の神社で祈願済みのものを購入するとのこと。

なるほど、一般の方向けに、杉玉作りワークショップを企画したら面白いのではと思っていたが、杉玉をレクリエーションの道具として扱うのは酒屋さんでは場違いなのかもしれないと思い直した。
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とにかく立派な杉玉。


ちなみに杉玉の意味合いについては、あくまで「新酒ができました」のサインであって、"緑だった杉玉が茶色くなると酒が熟成したしるし"ってことはないとのお話でした。

そういったお話と案内は、杜氏の土田さんがしてくださいました。職人といえば寡黙・・・というイメージをくつがえす、はつらつと元気で楽しい見学でした。

まずは店舗の裏手へ。目に飛び込んでくるのは酒タンク。
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50,000L入るんですよ・・・それが4−5棟ありました。

タンクの手前にある木はケヤキ。「良い水を呼ぶ」と言われているとのこと、こうやってタンクの間にガシガシそびえ立っていました。

大事な原料の1つ、お水はこちらの井戸でくみ上げています。赤石山系の伏流水だそうです。
店舗でお水も試飲させてもらいましたが、いつもの通り味の違いは分かりませんでした・・・私には無味無臭のおいしいお水でした!(ほんとそんな感想ですみません)
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くみ上げた水はパイプにて各種施設に送られています。メカ感がすごい。


この時は気づきませんでしたが、今思えば、東名高速道路や第二東名のような大規模工事がそれなりの近い場所で行われた土地ですが、変わらず美味しいお水が汲めるというのは素晴らしいことです。

続いて、精米所へ。
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こちらもメカ感がすごい。

見学に伺った5月は、実はお酒造りがひと段落した時期のため、工場は落ち着いて広々していました。こんなに大規模に精米するとは思っていなかったので、規模にびっくり。

それで・・・工程としてはいろいろあって・・・それこそ大事な米麹の仕込みとかがあるわけですが、見学できるような気楽な工程ではなく(仕込み時期ではないので実施もしていない)ので、見学ツアーとしては、次はもう酒! お酒できてます!
個人的には、桃から生まれた桃太郎が、桃から生まれるなんてびっくりだった次の瞬間にはお供を従えて鬼ヶ島に到着していた、という感じでありました。仕込みタンクが並びます。
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タンクの中が冷えているので、この場所もひんやりしています。


そして原酒を試飲・・・いつも通り、ザ・おいしい 以上のことは分かりませんでした・・・けど・・・おいしかったんですよ。ほんとすみません。
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こうして美味しいお酒ができるわけです。
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ちなみに貯蔵タンクの横には、戻ってきた空いた樽が山積み。
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浜松では、5月初旬に浜松祭りが行われ、各所で樽の酒が振る舞われます。ちょうどそれの空いた樽が戻ってきたということですが、樽の二次利用方法は特段ないということで、何か使えたらいいのになとアイデアをひねりたいですね。

この樽を見て、日本酒は、ある意味記号化しているんだなと思いました。祝宴などでの鏡開きは、あれは儀式的に「めでたい!」という表現として定着しています。それは、新興のお酒のビールやウィスキーにはない点です(野球界ではビールがけしてましたけど・・・最近はしていないかな? 少なくとも一般には行われません)。焼酎も400年を超える歴史がありますが(by Wikipedia)、ハレの場に用いられる立ち位置に置くということは聞いたことがありません。(日本酒の歴史を調べたところでは、「稲作と共に始まったby Wikipedia」とのことで、歴史の長さはずば抜けていた!)

ちなみに、杜氏になりたい(酒蔵で働きたい)という希望者は一定の数がいて、花の舞酒造さんでは人手不足にはなっていないとのこと。たまたま今は全員が地元出身者とのこと、地元の米、地元の水、地元の人間の三拍子揃った地酒だそうです。

また、花の舞酒造では、新製品開発が盛ん。日本酒としてはかなり変わりダネの商品もあります。パッケージデザインもモダン。杜氏の土田さんが楽しそうに、「若い人も受け入れやすいようなものを、若い者が作っている」とお話されていたのが印象的でした。

◎ぷちしゅわ日本酒 ちょびっと乾杯
http://www.hananomai.co.jp/product/liqueur.html
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※画像はリンク先からお借りしました

地元名産のメロンやイチゴ、ブルーベリー味もある地元色満載の新ジャンルのお酒。ビンの形もかわいい。

2015年にリニューアルした「SAKE Dolce(サケドルチェ)」
http://www.hananomai.co.jp/information/596.html

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※画像はリンク先からお借りしました

やっぱり毛筆とか和紙とかいうアイコンが乗っているとうもれてしまうので、こういうパッケージは目を引きます。

HPによれば、従業員64名という花の舞酒造。大所帯の組織が次に続いていくためには、大規模な工場(こうば)、見学ツアーなどでの企業のPR、新しいことへの挑戦などが欠かせないのだろうと推測します。

ちなみにこちらは、米麹の仕込みの際など泊まり込みの際に泊まり込む建物。いい雰囲気です。
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職人たちはみんな地元だし、今は別に泊まり込まなくてもいいらしいのですが、まあ遅い時間になったり来るべき時間が早かったりしたらもう泊まっとこ! というノリで使っているとか。

疑問に思っていた「職人技」については、1つ合点がいきました。
酒を作る際には、ある一定の味を目指す、という点を私は見逃していました。私は、「自然の材料を自然のあるがままに加工している」と思っていたわけです。しかし、とある銘柄のお酒として、「あの味」に仕立てたいという目標があれば、材料・天候などの違いを吸収する必要があります。
嗚呼、それが職人技。

仕事でも生活でも、人間やら人工物やらとしか接していないと、こういうことがピンと来ないのかもしれません。勉強になりました。


続いては、掛川にある土井酒造場さんに向かいます。
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by sugidaratenryu | 2016-08-06 18:18 | つながり

わらしべの里共同保育保育所見学 その2

続いて、わらしべの里保育所所長の長谷川佳代子氏の方針についての感銘を書きます。
ただし、見学訪問当日は休園日でしたので、園児たちを直接観察していませんのでご了承ください。

長谷川さんのスタンスはこれ。
「子どもの成長を、覗き見る」

語感が悪いので公の場では「覗き見る」とは言わず「見守る」と言い換えているそうですが、感覚そのままで言えば「覗き見る」だけだとのこと。

その真意は、「子どもを信じて、子どもが自らの力量を確かめていく、かみしめていく過程を、ただただ一緒にいること。『見守る』とは上から目線。大人が何かをして育てるという感覚になる。私は、子どもが自ら成長する様子を、こっそり見ている感じ」とのお言葉、がーーーん!どーーーーん!と感激しました。

心のどこかで、「子どもって、もっといろいろ出来るんじゃないか」と思っていた。もっと任せていいのではないかと。それに近いことを、実際に子どもに接している方が信念とされているとは、とても心強い。

配布資料によると、わらしべの里保育所は、そもそも預ける場所も機会もなくて困り果てた子どもとお母さんのために「子どもの居場所としての保育園」を作ったことに始まります。スタートは、自閉症と脳性まひを持った子ども達だったのだけど、障害があろうがなかろうが、その子の存在を認めることが出発点だったとのこと。

さらに資料には、「存在を認められた子どもたちは働き者になる」との一言が。
子どもの存在を認め、子ども自身に成長を任せ、大人は覗き見する程度 という方針による保育の様子をいくつかお話しくださいました。

※「覗き見る」ということは、「完全放任」ではないのですが、いかほど子どもと関わっているのかは今回の訪問では(保育自体がテーマではなかったこともあり)読み切れませんでした。
以下、長谷川さんのお話くださった具体例をお伝えします。

○園にスケジュールはありません。
驚きでした。大人ですら、「お昼休み」が決まっているというのに・・・
園に来たら、誰もが好きなだけ遊びまくる! 園庭で泥遊びしてもいいし、雨の日は園舎内を周遊してもいい。とにかく遊んでいるうちに、お腹が減る。園児たちは給食を待ちわびる。給食が完成したら食べたい人が食べる!
また、遊び尽くしているため午後になれば眠くなる。眠くなればお昼寝をする、という具合。

年長さんくらいになると、給食の食器は軽くゆすいで返却するという芸当ができるそうです。(私は感心しましたが、一般的にできるものかどうかは誰か教えて)
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食器をゆすいで返却するための子ども用流し。低いです。


また、古川さんはこのお話を聞いて、3・4・5歳児室から厨房の様子が見えるように設計したとのこと。心ニクイぜ。

そうじの時間も特に決まっていないそうですが、(確か)自主的に子どもらは雑巾を取り出して拭き掃除をするとのこと。

→おそらくコミュニティの出来始めのころは、職員による掃除への誘導や、「雑巾とは掃除用具である」「汚れたら掃除で綺麗にすることができる」という伝達はあったと思うのです。一度園の文化ができると、子どもらの間で「汚れたら掃除をすると綺麗になる」という知識が引き継がれているんじゃないかと想像します。

○園にクラスもありません。
特段分けてはいないようです。
担任もいないわけですが、職員は、園児全員を把握しておくという努力とスキルが必要になるとのこと。
→つまりは、一線を超えた場合には大人が声がけなり何なりで、介入するという意味だと思います。その一線をどこに引いているのかは分かりませんでした。事例から想像するに、一般よりも相当奥に引いていると思います。

○子どもたちが園外に遊びに行きたいと言えば、行かせます。
→これこそ、おそらく、外に行くだけの経験を積んだ子どもなら行かせる、という意味だと思います。今回見学した新園舎の南側は幹線道路で危険なため、そちら側になるべく園児が出ない建物の位置と間取りになっているとのことですから、危険に近づけないという大人としての配慮はゼロではない。でも例えば「川に行ってくる!」と言われれば送り出す とのお話でした。
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「川」とは利根川で、超でかい川です。「危険」いっぱいです。


おそらく、泥遊びなり園外経験なりで、水の怖さを知っている子だと見極めての許可だと思います。また、遠くまで行って迷子になる心配はとも思いますが、前述の通り、お腹が減れば帰ってくるので問題ないと。

聞いた話ですが、ジプシーの子どもは(放浪しているジプシーって、もうあまりいないそうですが)、子どもが親の居場所を常に把握していてはぐれないように気を配りながら、周りで遊ぶんだとのこと。親が移動し始めればついてくるというお話。
必要があれば、子どもが気を配れるんだ!という衝撃の小話でした。


想像の部分が多くなりましたが、とにかくこの園はその方針で回っているわけです。
長谷川さんは力強くおっしゃいました。
「子どもに任せても、ちゃんと秩序は保たれますよ」

うーん 信じがたい。でも信じたい。
そんな気持ちで聞いていました。


もう一つ、印象的なエピソードをご紹介します。

今回見学させてもらった新園舎は、室内の廊下は杉材でできています。旧園舎は檜の床材でした。新園舎に来た子供達は、床材の違いに気づき、「どう扱っていいかわからない」というような様子で、なかなか園舎内に入らなかったとのこと。そのうち、園のアプローチ(縁側のような場所・檜材でできている)と室内のそれぞれに片足を置いて仁王立ちになり、何かを確かめている様子だったと。

それほどに、鋭敏に材の違いを感じ取り、なおかつ扱い方がわからない=いためてはいけないという優しさなのか、または未知への畏れなのかわかりませんが、いずれにせよ「自らのありのままをいきなりぶつけない」という気遣いができるのかと、とても驚きました。


そんなこんなで、感動し感銘受けっぱなしの見学会でした。
企画&誘ってくれたココモリプロジェクトチームに、この場を借りて感謝いたします。
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園舎全景。

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by sugidaratenryu | 2016-07-16 16:15 | つながり

わらしべの里共同保育保育所見学 その1

さて、見学にうかがったのは4月のことで、だいぶ時間が経ってしまいました。

というのは、建築の専門性を持っているわけでもなく、子供を育てているわけでもない私が何を語れるのだろうと悶々とするモードに陥ってしまったからなのですが、そういう立場の私でも大感動しました!!というお話は堂々とすればいいのだ という気持ちにたどり着き、書き出したしだいです。

というわけで、この記事は専門的な点や、保育や育児の難しさについては又聞きの域を出ていませんことご了承ください。あとは、感性にまかせて前のめりに見学させていただいた結果、あまりメモを取っていませんので間違い勘違いがある可能性もご了承ください。

そんな弱気な書き出しではありますが、こうなればガシガシ書いてまいります!

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さて、わらしべの里共同保育場は、埼玉県にあります。
設計は、アトリエフルカワ一級建築士事務所の古川泰司さんです。(初対面で名刺をいただいた際、私は第一声に「アトリエフルカワー って読めちゃいますね」とアホな感想を口走ったことを鮮明に覚えております)

埼玉と言っても広くて、ド都会から山までバリエーション豊かですが、保育所の周りはこんな感じで、畑が広がり、どっしりとした家並み街並みも感じられ、しかし幹線道路はトラックや車がガンガン走るというような、いわゆる都市といわゆる田舎の中間くらいという印象を受けました。
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わらしべ園庭から北東の風景


(今調べて認識しましたが)所在地は埼玉県の最北。園からすぐのところに群馬県との県境となる利根川が流れています。(たしか)その河川敷から、グライダーが離着陸するという、広々とした土地です。
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ちょうど飛んでたグライダーと、園舎アプローチ


何はともあれ、問答無用で建物が美しいことにキャッシーはド感動しました。すっと自然体に存在していて、凛としている。形や構造の随所に意味や想いがある。建築家としての美しさへのこだわりは、さりげなく適用されている。利用者(依頼者)の意図と建物が整合している。依頼者である園長先生の子供へのアプローチに大賛同!!と、とにかく建物から保育方針まで、ド感動だらけでした。

まずは建物の美しさから。アプローチの軒下がこちら。
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杉材の美しい廊下。
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お母さんたちが相談にくるという支援センター。そこはかとなくピンクです。かわいい。
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そして、わらしべの里の代名詞にもなりそうな大ホールこと3・4・5歳児室開け放ちバージョンがこちら。
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さて建築とは意匠ばかりではありませんで、構造やら行政の規制があります。これらについても、なんだかとっても爽やかに解決されていると感じました(すごいことほど、”ふつう”に見えるってやつですね)。

いただいた資料によれば、「建物は『準耐火』の木造。地元埼玉県の木材を81%使用、使用量としてはおよそ140立方メートル。」ということですが、シロウトにもわかるように古川さんが噛み砕いてくださった解説によってワタクシが理解したところでは
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・あらかじめ「45mm=40分の燃えしろ」を取ってあるため、火災時に燃えて崩れるまでの時間をかせぐ構造である(木造でも、逃げるだけの時間を確保することで多人数を収容する施設としての安全性を確保している)

・使うなら地元の木でしょ!、という気持ちがあっても、100%地元材!とこだわると”縛り”になってしまい、苦しいところが出てくる。8割が地元材なら誇っていいと思う。 

・大きな施設を木造すると使用量のインパクトは大きい。多くの人の目にも触れるので、アピールとしても強い。
[参考]普通の一軒家で使われる木材量は幅はありますが20~30立方メートルのようです(今Googleでちらっと調べ)。
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数字や規制に関する情報は上記のような感じです。とにかく火災を起こさぬよう、起きた時には命を奪わぬよう・・という規制の想いは、泣けますね。「そんなガチガチに言わなくても」と思ったりもしますが、根本は優しさでできているのが規制ですね。

燃えしろ構造にした場合の問題点になりやすいのは
・構造材が太くなるので、意匠上もっさりする
・使う材木量が増えるので、費用がかかる
ということですが、前者については、構造材を壁で隠してすっきりさせ、木面が見える量のバランスを取ることは可能とのこと(なおかつ壁に隠した部分は燃えしろが少なくていいらしい)。大ホールの写真を改めてご覧いただきたいのですが、もっさり感はどこにもないと思います。

あとは後者の「使う量に比例して価格が上がる」ことはあまり詳しくわかりませんが、とにかく国産材が安い現状なら問題ないんじゃないでしょうか(無責任ですみません・・・個人的にリアリティが持てない観点のため)。いや、真面目に考えると、外国産材はもっと安いのかもしれませんが、想像するに100の木量が120になることより、搬送トラックが3台から4台になることの方がお金かかりそうな気がします。

材料についてポイントだと思ったのは、設計士と構造計算担当が、しっかり連携をとったというお話です。構造上の安全性を担保するための構造設計は、計算によって純粋に答えを出します。具体的には、「ヤング係数(木の丈夫さの基準)は90で××立方メートルね!」という答えが出たりするようですが、現実的には、そんな丈夫な木がそもそも山から出ていなかったり取引している木材問屋さんのところになかったり、とどのつまり費用がかさむなどの状況が発生するわけです。

そこは設計士の腕の見せ所かとも思いますが、構造上の安全性と材料の都合、さらには利用者の三方良しの設計を導き出したわけです。


さて、構造と表裏一体の意匠や機能。構造と意匠と機能がうまくかみ合っている!という象徴的な2箇所をご紹介。

まずは大ホールの天井です。
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リズミカルに並ぶ桟は、実は大ホール真上については構造上の役割はないとのこと(別の部分で屋根を支えている)。構造上必要性があったのは、大ホールの左右に配された学童室と乳幼児などの部屋だけだったのですが、古川さん曰く「乳幼児から、3・4・5歳、そして学童(小学生)がみんなつながっている、ということを表現したくて、同じ意匠が続いているようにしたし、隣の部屋の天井が見えるように間をガラスにした」とのこと。

なんてこった!!

てっきり単に支えるための構造だと思っていました!! でもさりげなく、想いが表現されていた。押し付けるのではなく、そっと周りにいて気にかけている。そんな感じがしました!!

続いてこちらは、学童室の小上がり。今回のツアーでは、対談会場となり、小上がりの階段を客席にしました。
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これもてっきり、空間の面白さを意図したのかと思ったのですが、竜巻避難用の地下室を作る必要があり、しかし完全地下にするには地下水の水位が高すぎて半地下にしかできなかった結果、とのこと。半地下にしかできないことだけ考えたら、ネガティブ要素だったんだと思いますが、それが不自然ではないし不都合でもない形で収まっています。先に小上がりを設計したのではと思うくらい。

階段を駆け上がるって面白いし、上と下で段差があるやりとりも面白い。角や隅っこが多いので、落ち着いて過ごし易い。広さが魅力の大ホールとの役割分担でもあるし、年齢が上がった子供達は少し落ち着きが出てきますから、空間も落ち着き易い方がいいと思います。

同様な事情と形状は、大ホールを挟んだ反対側の乳幼児室にも取り入れられていて、ごく幼い乳幼児も広すぎる空間よりも安心する小空間がいいわけです。また、小上がりの上と下で年齢層が分けられていて、上は乳幼児、下はハイハイができる幼児のゾーン。ハイハイができる幼児って、年下の子への配慮ってまだできないと思うので(たぶん)、段差によって緩やかに区域を分けてあるってのもうまいもんです。それがまさか、地下水の水位から生じたうまさとは。


それから、設計者のさりげないこだわりがこちら。
逆光がひどくて色合いが酷くて申し訳ないのですが・・・この窓の作り方に、古川さんのこだわりが入っています。
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さりげないですが、この窓、窓枠が外側に取り付けてあります。つまり、この内側からは窓枠(サッシ)は見えず、額縁のようにさらっとしていて風景を邪魔しません。ほんとに、すこーーーんと枠が空いていて、あんまり窓って感じがしませんでした。開放感がとてもあります。

これは別に依頼されたわけでも要求があるわけでもない、古川さんのセンス!

そして、印象深かった古川さんの言葉は、「この園の方針を聞いて、子供達の動きをみて、先生方の様子を見て、それを邪魔しない建物を作るのがぼくの仕事だと思った」。

そうなんです!!!
日常を過ごす建物って、それくらい、無視できるくらいの存在感であってほしい。でも意識的に見た時には、とても丁寧な仕事だということがわかる。ずっと過ごしていたのに、あるときその意味にはっと気づく。
建物と人とは、そういう距離感でいるのが、私はここちいいと思います。

最後におまけ。
ハイハイができる幼児部屋から園庭へのアプローチ。ハイハイで直接お庭にでられる特別仕様です^^
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その2では、園の方針について語りたいと思います。
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by sugidaratenryu | 2016-07-03 14:49 | つながり


日本全国スギダラケ倶楽部、天竜支部です。